恐怖指数(VIX)とは何だ
こんにちは、FPマックです。
今回は恐怖指数についてお話ししたいと思います。
あなたはこの恐怖指数という聞きなれない言葉を聞いたことがありますか?
実はこの恐怖指数は株式投資の際にとても良い投資材料となり得るのです。
そして、それは使い方によっては、有効なリスクヘッジにも活用できるのです。
知っていて決して損はない、そんな指標ですので、あなたも是非この機に理解してみてはいかがでしょうか。
恐怖指数とは
恐怖指数(VIX)とは、「ボラティリティ・インデックス(Volatility Index)」の略称で、アメリカのCBOE(シカゴ・オプション取引所)が、アメリカの主要株価指数の一つである「S&P500」を対象とするオプション取引の値動きを元に算出し公表している指数です。
この恐怖指数は未来の投資家心理を示す数値として利用されており、一般的にVIX指数の数値が高いほど投資家が相場の先行きに不透明感を持っているとされています。
それでは、なぜ恐怖指数という名称で呼ばれているのでしょうか。
その由来は、この指標の元になるボラティリティ(株価変動率)から来ています。ボラティリティとは、株価の値動きの度合いのことで、株価が激しい値動きをするとボラティリティの数値は高くなる傾向にあります。数学的に言うと、標準偏差が大きいと言い換えることもできます。
そのボラティリティですが、投資家が相場の先行きに不安を抱いているときに上昇することから、VIX指数は上昇します。つまり、投資家の恐怖感が指数に反映されているのですね。
そのため、「恐怖」指数と呼ばれれているのです。
恐怖指数の動き
恐怖指数は、未来の予測や経済の先行きなどから、投資家の心理を反映して変動するとご説明しました。
では過去には一体どのような動きをして来たのか見ていくことにしましょう。
下記のチャートは、過去の恐怖指数(CBOE VIX)とアメリカの株価指数であるS&P500の値動きです。赤が恐怖指数で青がS&P500になりますが、動きに関係性を読み取れると思いませんか?
特に注目して頂きたいのは、2008年から2009年にかけての突出した赤のグラフ部分です。
お判りでしょうか、これはリーマンショック発生時の恐怖指数の値動きなのです。そのタイミングでのS&P500の値動きはというと、大暴落しているのがわかると思います。
また、2011年には欧州ソブリン危機が発生していますが、そのタイミングでも激しい値動きが見て取れます。
あなたも既に察しがついていると思いますが、株価が下落すると、恐怖指数は上昇する傾向があるのです。要するに、逆相関の関係にあるのです。
これは日本における日経平均株価にも適用できます。当然リーマンショック発生時は日経平均株価も大暴落していましたよね。
そのような値動きのパターンにより、この恐怖指数の動きを観察することで、いち早く保持している金融資産を売り抜けたりといったことも可能になるかも知れません。
では、恐怖指数がどのような値動きのタイミングの際に、売買などの判断すればよいのかという話をしていきたいと思います。
恐怖指数の値幅での投資判断
前述のチャートから判断すると、恐怖指数が40を超えてくると株価の暴落が発生しているのが見て取れます。
通常時は10~20の間で推移しているのですが、その閾値を超えてくると何かが起こる前触れということになります。
ただし、40を超えてくるタイミングでは、既に株価の大暴落が始まっていることが予想されるため、既に時遅しということになってしまいます。
そのため、20超えたあたりで経過観察を始め、動きが大きくなったタイミングで行動を起こすのが良いかと考えられます。
リスクヘッジのための恐怖指数
上述した恐怖指数の動きから、もしもの金融危機に備えてリスクヘッジに利用することが可能です。
ただし、正確には恐怖指数であるVIX指数に連動したもの自体は存在せず、VIX中期先物指数およびVIX短期先物指数という指数に連動したETFになります。
連動指数 | ETF |
VIX中期先物指数 | 国際のETF VIX中期先物指数 (1561) |
iPath VIX中期先物指数連動受益証券 (2029) |
|
VIX短期先物指数 | 国際のETF VIX短期先物指数 (1552) |
iPath VIX短期先物指数連動受益証券 (2030) |
VIX短期先物指数に連動したETFの方がボラティリティ激しいという特徴があり、短期売買の際には効力を発揮します。
恐怖指数を観察し、大きく相場が下落しそうな時にタイミングを見極めて直前に投資する戦略に向いています。
通常の金融資産のリスクヘッジとして、中期で保有する場合は、VIX中期先物指数に連動したETFを選択すると良いでしょう。
ただし、VIX短期・中期先物指数ETFは基本的に長期の保有には向きません。
その理由として、これらのEFTはVIX指数そのものではなく、S&P 500 VIX先物指数(円換算)に連動することに起因します。
VIX短期・中期先物指数の値動きは、それぞれ取引所で上場しているVIX指数先物の期近(受渡期日までの期間が最も短い限月)の価格を売却し、次の限月の価格を買付けるという取引を繰り返した推移をします。
通常時のVIX指数先物は、期近から期先(受渡期日までの期間が最も先の限月)になるにつれ価格が高い傾向にあります。そのため、「安い方を売って高い方を買う」ことになり、VIX先物指数は長期保有すればするほど徐々に安くなっていく傾向があるのです。
逆に、マーケットが荒れているときは、VIX指数先物は期先より期近が高くなる傾向があるため、上昇するようになります
そのため、平常時の長期保有は資産がどんどん目減りしていくので注意が必要です。
よって、賢い利用方法としては、相場の状況に変化が起き始め、恐怖指数が高まってきたタイミングで購入するというのがいいのではないでしょうか。
まとめ
恐怖指数、使い方によっては有効なのではないでしょうか。
今の日本の株式市場は、世界情勢により敏感に反応しますので、今後もリーマンショック級とは言わないまでも、甚大な金融危機により市場が荒れることがあると思います。
そういった際にも、このようなリスクヘッジの方法があることを覚えておくことで、虎の子である金融資産を守ることができるのです。
あなたも是非、この恐怖指数の動きをチェックしてみてください。
では、また次回。