通勤費と税や保険料の関係

こんにちは、FPマックです。

 

本日は給与所得者の給与に含まれている「通勤費」の税や保険料の算出に関する扱いについてお話していこうかと思います。

「通勤費」は基本的に自分が実費で支払う公共交通機関への経費を会社から通勤手当として支給されていることより、収支で考えるとプラスマイナスゼロということになります。

要するに、得もしないし損もしないのです。そう考えると、もしあなたが遠いところから通勤していたとしても、給与的にデメリットになることはないと考えられます。

 

しかしながら、世の中には矛盾が溢れており、毎月の給与から源泉徴収される税や社会保険料の算定に関して扱いが違うのです。

実は、「通勤費」を多く支払っている、つまり通勤距離が遠く通勤手当を会社から多くもらっている場合は、不利益を被ることが現実的に有り得るのです。

 

では、「通勤費」の扱いについて気を付けておきたい2つのパターンについて掘り下げていきます。

・所得税
・社会保険

 

所得税の扱い


あなたもご存じのとおり、通勤手当というのは税金が課税されないという認識があると思います。

具体的には、非課税限度額は毎月10万円までと定められておりますが、それを超える分に関してはこの限りではありません。

さらに言うと、上記限度額に加えて、「最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合」のみが非課税対象とされています。

 

「通勤費」は自宅から職場までの交通費の実費を自分が支払った分に対して、会社から手当として支給を受けるという仕組みです。

これにもしも税金が掛かっていたら、自分が支払った分より会社から支給される金額が少なくなり、会社に通えば通うほど収支はマイナスになります。

これはおかしな話ですよね。そのため、当然と言えば当然の措置なのです。

 

ただし、これは所得税に限ったお話になります。所得税の計算の際には、通勤手当は控除して計算されるため、非課税という扱いとなっています。

 

社会保険料の扱い


社会保険料、つまり、健康保険料、雇用保険料、厚生年金保険料の算出に関しては、実は所得税とは違った方法になっています。

社会保険料に関しては、以下の手当を含んだ収入を算定金額として計算を行うのです。

 

算出に含む手当 算出に含まない手当
通勤手当 臨時に支払われる手当
残業手当
住宅手当 年3回以下の賞与
扶養手当
年4回以上の賞与

 

社会保険料の計算に関しては、会社までの通勤距離が遠い場合、つまり通勤手当を多くももらえばもらうほど、社会保険料料の金額が増大します。

これはおかしな話ですね。その他の残業手当や住宅手当は給与お別枠支給とも考えられるので善しとしても、通勤手当は実費精算なんですけどね。

 

社会保険料と言っても、健康保険料、雇用保険料、厚生年金保険料と種類がありますが、考え方によってはメリットと捉えることもできます。

厚生年金保険料は、通勤距離が短い人よりも毎月多く保険料を支払うことになるため、その分将来多くの年金を受け取ることができるとも言えます。

考え方にもよりますが、厚生年金は将来的にどう転ぶかわからないため、そうであれば個人型DC等に拠出した方がいいとも言えます。

雇用保険料は、失業した際に受け取るであろう失業手当の算出基準となる「平均標準報酬額」に影響を及ぼすため、多ければその分失業手当の金額も大きくなります。

しかしながら、雇用保険料は毎月掛け捨てであることと、失業手当をもらう機会が生涯のうちどれだけあるかを考えると、あまりメリットとは言えないのではないでしょうか。

 

翻って、健康保険料はどうでしょうか?これに関しては多めに支払ったとしても、大したメリットは考えられません。
厚生年金保険料と決定的に違うのは、厚生年金は保険料を多く支払えば支払うほどもらう年金も増えることが予想されますが、健康保険料はいくら保険料を多く支払ってもその見返りは大して変わらないということです。
その健康保険料の算出に通勤手当を含めてしまうのはいかがなものでしょうか?

 

まとめ


会社までの距離が遠く、「通勤費」が多く掛かっているサラリーマンの方は、社会保保険料、厚生年金保険料、雇用保険料を多めに支払っていることを認識下さい。

そして、国の制度というものは税や保険料で計算方法が異なることを覚えておくと宜しいかと思います。

 

それでは、また次回。

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